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暮らしの基礎知識、「天然ガス」はどこから来るのか?

更新 2021.10.26

 

ガスがどこから来て、なぜ私たちの暮らしに必要なのか。
この記事では、社会インフラの基礎知識として、その仕組みと課題をご紹介しています。

輸入だよりの天然ガス

ガスは大きく分けて、「都市ガス」と「LPガス」の2種類があります。
「都市ガス」は、主成分はメタンガスで、冷やして液状にしていることから「液化天然ガス(LNG:Liquefild Natural Gad)」とも呼ばれます。
「LPガス」は、石油から取り出したガスで、主成分はプロパンです。「液化石油ガス(LPG:Liquefied Petroleum Gas)」とも呼ばれます。

人間が作り出したガスを最初に使ったのは18世紀のイギリス。石炭から出るガスでガス灯が灯しました。日本では明治時代にガス灯が灯り、現在では、ガスコンロやガスストーブなどのガス器具、アウトドアや災害現場などで活躍するカセットガスなどが普及しています。

天然ガスは、自然界に存在しているメタンガスを地中や海のから取り出したものです。天然ガスの採取地は、中東やロシアに集中しており、日本は石油や石炭と同じように、天然ガスの98%とほとんどが輸入です。

国内生産では、新潟県や千葉県などがあります。

天然ガスは、別名は「化石燃料」とも呼ばれます。その由来は、今から何千万年も昔に死んだ動物や植物、微生物やプランクトンの死骸が地中に埋没し、長い時間をかけて変化したものだからです。死骸は、泥とともに海底に溜まりおし固められて「泥岩」になります。それが地球の熱で温められて分解され、ガス(気化)となり地層の下に溜まっています。

最近は、シェールガスやコールベッドメタンメタンハイグレードと呼ばれる新しい天然ガス資源が発見されています。

統計資料によれば、2016年時点において、可採年数は天然ガスが残り53年で、約186.6m³の埋蔵量があるといわれます。しかし、原油を例に見てみると、1920年~1950年の原油可採年数は約20年でしたが、1960年代には中東に大油田が発見され、可採年数が35年くらいに延びたという歴史があります。実際のところ、どうなのでしょうか。

都市ガスの仕組み

海外で産出され、液化した天然ガスは、タンカーによって運ばれます。

メタンガスは、液体にすることで気体に比べて体積は1/600になりますが、-162℃超で気体に戻ってしまうため、タンクは常に保冷されています。一方、LPガスは、液体に戻る温度がメタンガス低くないため、小型のものがあります。写真:写真AC

海外からタンカーで運ばれてきた「都市ガス(液化天然ガス:LNG)」は、日本全国に30カ所あるLNG基地に送られ、そこにある巨大なタンクに貯蔵されます。高圧でガス菅に送り出され、途中にある変圧器で中圧、低圧のガスに変えられて工場や家庭に届けられます。
タンクは地震が起こってもガスが漏れ出さないような丈夫な作りになっており、そして常に低温に保たれる構造になっています。

天然ガスは、無色無臭のため、もし万が一、家庭でガス漏れが発生した際に、気づくことができるように、あえて人工的な匂いとして玉ねぎのような臭い匂いがつけられています。

都市ガスが配られる方法については、ガス管パイプラインを通じて球体型のガスホルダーに保存されて各家庭に送られます。ガス管は地中に埋まっていて、東京ガスの場合、すべてのガス管をつなげると地球1周半分もなるそうです。

都市ガスが届くまでの流れ

地中のガス管は、地盤変動に強い素材で作られており、古くなったガス管は点検され、常に取替工事が行われています。東日本大震災でもタンクのガス漏れは起こらず、各家庭でもガスメーターが地震を検知した際に安全装置が作動する仕組みになっています。 

 近年では、ガス探査機の機能を組み込んだドローンや人工知能と組み合わせたシステムの導入が検討されているようです。

LPガスの仕組み

経済産業省の資料によると、国内での都市ガスの普及率は約46%で、東京や大阪は80%を超えますが、20%を下回る道府県が半分以上を占めています。そういった地域では主にLPガスが利用されています。

LPガスである「液化石油ガス(LPG:Liquefied Petroleum Gas)」は、産出するときにメタンガスに混じっているため、都市ガスとは生産方法に違いがあります。油田の中のガスから分離回収する方法や、天然ガスの中から分離回収する方法などがあります。

LPガスは、4/3を海外からの算出国から輸入しており、残りの4/1は国内の製油所で輸入した石油から生成されています。輸入されたLPガスはタンクで液体のまま保存され、充填所までタンクローリー車などで運ばれます。充填所では、使用者のニーズに合わせて2〜500kgのガスボンベに小分けされ、各家庭や飲食店などに届けられます。

LPガスのボンベは、家の横に2本分が設置されています。ボンベの残量は、ガス販売会社がデジタル上で管理しており、1本目がなくなると取り替えが行われます。

LPガスが届くまでの流れ

エネルギーを自給するということ

エネルギー自給率とは、自国内で賄えるエネルギーの比率のこと。日本のエネルギー自給率は約8.3%と先進国の中でも特に低いといわれます。

ノルウェーは天然ガスと石油の輸出国の上位。さらに国内電力量の約95%を国内の水力発電でまかなっています。

1960年頃、石油が輸入されるまで日本は、主に石炭と水力発電などで自給率は、約60%ありました。しかしエネルギー使用量が増える中でエネルギー源が石炭から石油に変化し、産油国でない日本の自給率は低下した経緯があります。天然ガスだけでなく、原油も約86%は輸入だよりになっています。

ひと昔前の日本では、囲炉裏や竈門で薪を燃やし、七輪に炭をおこしたりして人々は暮らしを営んでいました。薪や炭をを手に入れる森や林もたくさんありました。薪や炭を燃やした時に出るCO2は、森や林の木が再び育つときに吸収され、森と人間の暮らしの場と、大気中などをうまく回っていたので、CO2が大気中に増えすぎる事はなかったともいわれます。

しかし、今は石油や天然ガスなどの化石燃料を軸に暮らしています。現在の、日本の化石燃料依存度は約85%で、これらは冒頭に述べたように大昔の生物が地下に埋まり、長い年月をかけて変化したものです。それらを掘り出して燃やすと燃やした時に出るCO2が今の森や林で使われるよりも多くなり、大気中で増えすぎてしまいました。これが温暖化の原因といわれます。

2021年10月、日本政府は、エネルギー基本計画として「第6次エネルギー基本計画」を閣議決定し、 気候変動問題への対応と日本のエネルギー需給構造の抱える課題の克服という観点から案がまとめられていますが、私たち自身も燃料の使い方を見直す時期にきているのだと感じます。

私たちは、すべては自給できないまでも、少しずつ自分たちで燃料を作る方法を楽しみながら勉強しています。まだまだ知らないことも多いのですが、後日、その自給方法やアイデアをまとめてみます。

お楽しみに!

参考資料:

・PHP研究所「電気・ガスはどこから来ているのか?」
・地球の暮らしの絵本「火を扱う知恵」

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