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キュウリの歴史と自然農の栽培方法

更新 2022.4.4


キュウリの原産は、インド北西部のヒマラヤ山麓地帯。

漢字では「胡瓜」と書き、日本では平安時代以前から盛んに栽培されてきました。きゅうりの「胡」という字は、中国の西域にある胡の国(中国の西方にある国々の総称)のことで、古代にシルクロードを経由して日本へ伝来した説が有力です。
現在、世界中で年間約8,000万トンのキュウリが生産されています。世界最大のキュウリ生産国は中国で、年間約6,000万トンの生産量を誇っています。世界第2位は、ロシア連邦で年間約2,000万トン。その後、トルコ、イランと続きます。日本は年間約50万トンで世界第10位です。

隋の時代には、果実そのものが熟すると黄色になる特徴から「黄瓜」とも命名されており、歴史、特性から漢名から読みとることができます。
メキシコの荒野に自生していたと言われます。

キュウリの種類

日本のキュウリは、黒イボ種の「華南系」と白イボ種の「華北系」に大別されます。
その他、ヨーロッパ系の「スライス型」「ピクルス型」などもありますが、今回は割愛します。

現在、日本で流通する胡瓜の主流は「華北系」で、明治以後にシルクロードを経由して日本へ渡来したものです。果皮に白いイボが多く、肉質はパリッとした食感が美味しいです。暑さや病気に強い反面、乾燥や低温に弱い特徴があります。暑くなってから成り始めるため「夏キュウリ」と呼ばれています。「四葉胡瓜」が代表品種で、現在の品種改良のもとになっています。

「華南系」は、日本に最初に入ってきた品種群で、節成り性が強く栽培しやすい反面、短く太い品種が多いので果実品質が劣ると言われます。皮は厚く、肉質が柔らかい。夏までしか実がならないので「春キュウリ」と呼ばれています。古い品種であることから胡瓜本来の味を楽しめると言われます。現在はあまり出回っていません。

主な華北系:
「四葉胡瓜」
埼玉県「霜しらず地這胡瓜」
埼玉県「ときわ地這胡瓜」
埼玉県「奥武蔵地這胡瓜」

主な華南系:
広島県「青大胡瓜」
神奈川県「相模半白胡瓜」
宮崎県「椎葉村在来」
埼玉県「落合節成胡瓜」
金沢県「加賀節成胡瓜」

わが家では、写真右の華南系「半白節成胡瓜」を栽培していますが、果肉の風味が現代人の口に合わないと感じます。

先人たちは、「華南系」の品種を5月以降でも栽培できるよう、「華北系」の様々な品種とを掛け合わせて多様な品種を作ってきた歴史があります。その中でも有名なのが、1955年に熊沢三郎という人物が九州農業試験場で「夏節成胡瓜」という固定種です。

現在の日本産キュウリのほとんどが、この「夏節成胡瓜」の流れを汲んでいるとされ、昭和40年代半ばには、全国の胡瓜は白イボ種になったと言われます。5月以降でもよく育ち、節には雌花を付ける性質を持っていたそうです。

「夏節成胡瓜」は、華北系の中でも暑さに強い「四葉胡瓜」と「落合節成胡瓜」を四代かけ合わせたものを母に、「四葉胡瓜」と「満州秋胡瓜」を三代かけ合わせたものを父にして得た雑種の中から選抜したものです。

日本各地の在来胡瓜
黒滝白胡瓜」奈良県吉野郡黒滝村
美馬太胡瓜」島県美馬市
毛馬胡瓜」大阪府南河内地域
勘次郎胡瓜」山形県真室川町
会津余蒔胡瓜」福島県会津地方
糠塚胡瓜」青森県八戸市

以前、訪れた老舗種苗店には、「半白節成胡瓜」のサイズ別にその品種がわかる絵がありました。

自然農の栽培

キュウリの発芽地温は、25℃〜30℃。生育適温は20℃〜30℃。
一般的に3-4月にポットに種をまき、育苗した苗を5-6月に植えつけます。7-8月に収穫します。

雌雄同株で、黄色の雌花と雄花が別々の節につきます。栽培品種には各節に雌花のつく節成型も多いです。キュウリには雌花の付き方によって「成り型」の違いがあり、大きく分けると「節なり性」と「飛び節なり性(地這性)」の大きな2種類があります(細かく分類すると中間型もあります)。

無農薬栽培や自然農では、根張りが強く、雌花と雄花が交互につくバランスがよい「飛び節成り性」がオススメと言われます。人気の品種は「バテシラズ2号」、「バテシラズ3号」、「四葉胡瓜」です。

畑にあまり出れない方は、実がつきにくく、大きくなってからも食べることができる在来種が良いとされます。わが家は、育てやすい節成型の「半白胡瓜」なので摘心は殆ど行わないません。「飛び節成り性」の摘心方法など様々な方法は、近日中に記載します。

胡瓜の雌花。虫が受粉しなくても実を付ける「単為結果性」という性質を持つ胡瓜があり、現在の胡瓜は殆どが「単為結果性」を持ちます。昔の黒イボ系の胡瓜は単為結果性がないものもあります。
「節成型」の胡瓜は縦に伸びるので、竹の枝葉を使ってネット代わりにもできます。

コンパニオンプランツとの相性

竹内孝功著『野菜の植え合わせベストプラン』を参考にコンパニオンプランツを実践してみました。

二十日大根・ラディッシュ
キュウリの苗を植える1ヶ月前、周囲に「二十日大根」を撒いておくと、その匂いでウリハムシを防虫できます。実際に虫が来なくてびっくりしました。

二十日大根「赤丸」

エン麦
キュウリの苗を植える1ヶ月前、センチュウ抑制効果の高い「エン麦」の野生種を育てておくと土壌の余計な養分を吸い取り、キュウリのウドンコ病を予防できます。

ネギ類
矯正する微生物が抗生物質を分泌して土壌を消毒します。キュウリの苗と一緒に植えると根が絡み合って病気予防に繋がります。

エンドウ豆
エンドウは連作を嫌い、一度植えたら5年程は同じ場所では育たないと言われますが、キュウリとの交互連作は相性が良いとされます。

その他コンパニオンプランツ
ミツバ、エダマメ

相性の悪い作物
ツルありインゲン(センチュウを呼ぶ)、カボチャ・スイカ・マクワウリなどのウリ科

後作に相性が悪い作物
人参(成育不良になると言われます)

キュウリの自家採種

胡瓜は、他家受粉なので容易に交雑するため、品種を絞るのがオススメです。
「袋がけ」「雄花の花止め」などを詳しく記入すると長くなるので、後日追記します。

自家採種の流れ

1. 収穫せず黄色くなるまで成熟させる

2. 水分が入らないよう種をかき出す

3.ビニール袋に密閉し、1-2日発酵させる

4.種を洗い、水に浮いた種を選別し、2-3日、日向で乾燥させたら完成です。採種した種は密閉して冷暗所で保管します。

ブルームレスキュウリについて

スーパーや市場に並ぶキュウリは、「ブルームレスキュウリ」が主流です。ブルームとは、表皮につく細かい白い粉。果面を保護するろう物質のこと。主成分はケイ素です。

ブルームはケイ素が少なければ発生しにくい性質があるため、ある種のカボチャを台木としてキュウリに接ぎ木するとブルームのないキュウリが収穫できます。このキュウリを「ブルームレスキュウリ」と呼び、台木を「ブルームレス台木」と呼びます。この台木に接ぎ木することで、どのキュウリ品種もブルームレスキュウリになります。なのでプロのキュウリ農家さんは苗を購入しています。また表面にシワやイボが無く、洗いやすいメリットがあります。

食味は賛否両論ありますが、本来のブルームがあるキュウリの品種は、表皮にブルームが出るため、果肉の水分が失われにくいという特徴があります。そのため、皮が薄く、果肉にも水分がたっぷりと含まれていて、歯触りが良いとされます。

ぜひ、スーパーのキュウリでは味わえない品種を家庭菜園で育ててみてくださいね。

参考文献:
創森社『自然農の野菜作り』 高橋浩昭著
農文協『これならできる!自然菜園』竹内孝功著
ワン・パブリッシング『野菜の植え合わせベストプラン』竹内孝功著
農文協『これならできる!自家採種のコツのコツ』自然農法国際研究センター

参考サイト:
https://www.naro.affrc.go.jp/org/karc/qnoken/qnoken/no20/20-010.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjshs1925/24/1/24_1_1/_pdf
https://hcvalor-navi.com/gardening/kasai/cucumber/onepoint

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